January 26, 2008

『江戸奉公人の心得帖―呉服商白木屋の日常』(油井 宏子)

白木屋と言えば、元東急百貨店日本橋店の前身と言った方がぴんとくるだろう。(居酒屋ではありません。)つまり、現代まで続いた老舗だったのだ。数百年に渡って商売を維持するというすごさの影には理由があるわけだろうが、その一部はこの本にも明らかだ。従業員=奉公人の教育、モチベーションを維持するためのイベントやルール。江戸につきものの火災が起こったら速やかにビジネスを再開させるための準備。などなど。でも、読んでいて面白いのは江戸時代の奉公人の生活がどんなだったのかかいま見ることだ。
まず驚いたのは、給料だ。決まった額が設定されていたが、その現金が渡されることは無い。必要な分をその都度もらうシステムで、残った分は積み立てられていく。退職するときに、満額渡されるようだ。
ある程度の役職までは年功序列で、奉公する年数が増えればランクは上がっていく。しかし、管理職からは能力次第。
奉公人は地方出身者であったが、故郷に帰ることができるのは数年に一度。11歳くらいで働きはじめて、実家に一時帰郷が許されるのは9年後。小さい子供に取ってはさぞかし寂しかっただろうなあ。そのせいもあってか、入って3年くらいまでにかなり辞めてしまっていたようだ。
テレビの時代劇とはかなり雰囲気が異なり、女性の奉公人はいない。残業もある。なんと酒は30歳まで禁止だそうで、仕事中心の生活だったのだ。




"江戸奉公人の心得帖―呉服商白木屋の日常 (新潮新書 242)" (油井 宏子)

January 17, 2008

『Y氏の終わり』 (スカーレット・トマス)

ビッグバン、量子力学、ひも理論、というような最新の研究を元にした宇宙論や、映画『マトリックス』あるいは3Dのバーチャル空間で遊ぶセカンドライフなどの素材からのインスピレーションをファンタジー小説にしたてあげたのがこの小説と言えるであろう。こういったことに興味があるなら楽しめる小説だ。しかし最初から2/3ぐらいまでのところまでは正直感心するような面白さは感じなかった。最後のところは及第点をあげてもいいかな。




"Y氏の終わり" (スカーレット・トマス)

January 15, 2008

NetNewsWireとFeedDemonが無料になった NewsGator - The RSS Company

NewsGatorのRSSリーダーであるNetNewsWireFeedDemonが無料になった。NetNewsWireはMacintosh用のRSSリーダーで最も有名だと思う。私はこれまで無料版であったNetNewsWire Liteというのを使っていた。FeedDemonの方もWindows版として有名だし人気もあったと思う。この二つが無料になってしまったので驚きだ。この二つのアプリケーションはNewsGator Onlineというwebサービスとシンクしてオンラインでブラウザで利用することもできるので、私のように会社ではFeedDemonを使い、自宅ではNetNewsWireを使って同じRSSフィードを購読するというのも容易に実現できてしまう。
さて、RSSリーダーが普及しはじめたのは今から少なくとも4年前ぐらいだろう。クライアントアプリケーションの常套手段として有料というのはそのころからほとんどのRSSリーダーでとられていたビジネスモデルであろう。NewsGatorがなぜ無料化したのか興味は無いので知らないけど、たぶんRSSフィードへの広告挿入がビジネスになりつつあるというのが背景にあるんじゃないだろうか。asahi.comもそうなんだけどRSSの記事の途中に広告を割り込ませるやつが多いのでまずその辺りで目にするはずだ。しかし、あまりスマートは方法じゃないね。goo RSSリーダーでは最下部に並べて関連する広告を表示している。これはいいと思う(よ、石川君)。邪魔じゃないし、思わずクリックしてしまう。とにかく、優れたアプリケーションが無料で使えるようになるのはありがたい。その影にはビジネスとしての成熟がマッチしているというのをRSSリーダーで実感した。

Remember The Milkをproアカウントにした

Remember The Milkは、TO DOリストを管理するwebサービス。GTD(Getting Things Done)という仕事をこなしていく手法を実践するツールになる。GTDとは何ぞやという詳しい解説は検索で探してもらうとして、簡単に言えば、やるべきことをリストアップしてそれを実施していけば仕事はどんどんはかどるよねということ、と私は解釈している。GTDをやったからといって有能になれるかと言えば、そうことは簡単じゃないと思うけど、どんどん年とってやらなきゃならないことをすぐに忘れていくようになると備忘録としての役にも立つのだ。
で、なんで年間$25のproアカウントなのかというと、Remember The MilkのiPhone版を使えるのがproアカウントだからなのだ。それにバナナに換わってよりパワーアップするために役に立つってえんだからよいではないか。


January 08, 2008

大学恩師からの最後の年賀状

20年以上送られてきている大学恩師からの年賀状は毎年変わらない構成だったが、今年は一目見ただけで違っていた。手書きが一切無く、全てが印刷であった。90歳を間近にして息子さんの家に同居するようになり、また年末に入院手術をしたと記されている。そして、来春以降の年賀の挨拶は遠慮させていただく言葉が綴られている。

先生は都市計画が専門で、図学も教えられていた。とても厳しい先生で、無駄話はもちろん、肘を机について授業を聴くような態度も許さなかった。大学4年になるとき、恐る恐るこの先生に指導を受けて卒業研究をすることを友人と選んだ。ところが、同じ指導を受ける数名だけの授業で驚いたのは、友人が授業中居眠りをしているのに怒らないのだ。担当する生徒へ甘いというよりも、前日徹夜したんだろうなあと気遣うような優しさを感じた。私と卒業研究でペアを組んだその友人がしっかりやらないのもとがめること無く、私には人の出来不出来を受け入れる寛容さが必要だと話されたのを覚えている。そういえば、この数名の担当した生徒への卒業祝いは貝原益軒の「養生訓」であった。
とてもしっかりした考え方ができる方として尊敬できる恩師です。この年賀状での宣言もとてもかっこいい、とてもすばらしい行いだと感心してしまった。

January 04, 2008

久々の香港


香港の街角
Originally uploaded by ninomiya
年末、十数年ぶりで香港に行ってきた。離着陸のスリルで有名だった啓徳空港は無くなり、ビクトリアピークのあたりは整備されていた。三角形のモチーフと風水で有名な中国銀行ビルは見事にでき上がっていたが、周りにはそれ以上高いビルができていた。もっとも感じた印象は、とても奇麗になったということだ。シンガポールのようにゴミのポイ捨てが罰金になっていたように街中にはゴミが無い。当時は九龍城も残っていたので、街全体から猥雑さを強烈に感じてたんだけど、写真のような昔ながらの街角をあるいても何か整頓された印象だ。一方で、見事なショッピングモールがあちこちにでき、香港の観光の目玉は買い物なんだなあと再認識した。

『ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』

できを期待していた映画じゃないんだけど、前作を見ていたのでとりあえず見ておこうということで映画館で鑑賞。期待していなかっただけに、できは期待以上だった。第1作は、なにかばたばた喜劇のようなところがあっていまいちなんだけど、第2作は、そのへんが抑えられていたようでよろしい。ただ、悪役が最後のところで急にいい人になってしまうのがストリーとしては納得できない部分である。まあ楽しめりゃいいんだけどね。
キャストでは、『トランスフォーマー』でも重要な役をやっていたジョン・ヴォイト(アンジェリーナ・ジョリーが実の娘だとは知らなかった!)がこの作品でもがんばってる。大統領の誕生パーティーに大物カントリー歌手のランディー・トラビスが出ていたのが面白かった。




"ナショナル・トレジャー 特別版" (ジョン・タートルトーブ)