September 29, 2007

『プレイ-獲物-』(マイクル クライトン)

マイクル・クライトンの作品は、大ヒットした映画ジュラシックパークでも分かるように、科学に関するしっかりした知識に基づいたものばかりなので、「これあり!」と思うものばかりだ。この本は、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの未来の可能性から物語にしたものだけど、すぐに現実になりそうなので読んでいくととても怖くなる。似たもので真っ先に浮かぶのはターミネーター2。あの映画では変幻自在に変身する仕組みが分からなかったけれど、いわばこの本に出てくるやつはその仕組みの面白さが中心だ。面白い本で、一気に読んでしまうオススメだ!




"プレイ-獲物-(上)" (マイクル クライトン)

グロワール・デ・ディジョン(Gloire de Dijon)が咲いた


Gloire de Dijon
Originally uploaded by ninomiya
日本名はグロワール・デ・ディジョンとかグローリー ドゥ ディヨンと表記されているGloire de Dijon。春にはアブラムシが新芽のところについてしまって一輪も咲かずに終わってしまったが、秋にはなんとか咲いてくれました。写真では大輪のように見えるけど、夏の暑さのせいか実は小さい。淡い上品なピンク。花の形も上品だ。

September 27, 2007

『預言者ムハンマド』(鈴木 紘司)

9.11以来、イスラム教とイスラム教の信者は怖いというイメージしか無いんだけど、多くの人も同じじゃないだろうか。でもそもそもイスラム教に関して何も知らないのでこの本を読んでみた。ムハンマドという表記がこの本では使われているモハメッドの生い立ちや生涯について詳しく知ることができたが、驚くような奇跡を起こしたわけではなく、どちらかというと思想家であり、優れた軍隊の指揮官だったのではないかと思う。砂漠に分散していた部族に、アッラーの啓示というかたちで法律やルールを定着させ、信仰によって次々にまとめった手腕が卓越していたんだろうな。




"預言者ムハンマド" (鈴木 紘司)

September 22, 2007

グレン・キャンベル(Glen Campbell)が恐ろしく良い

この歌手がいいというひとはまずいないだろう。30年前の歌手なんだからそりゃしかたがない。でも私は気にっている。iTunes Music Storeでたまたま耳にした歌手なんだけど、ジミーウェブの曲だけを取り上げたこのアルバムなんて奇跡でも目にしているように気に入ってしまった。Jimmy Webbをまず知ったのはアートガーファンクルのアルバムだった。25年以上も前の話。感傷的なメロディーがその自分の自分に共感したからだ。とても気に入っていたので数年前にはジミーウェブだけのアルバムを聴くようになった。そしてさらに、ジミーウェブの歌を歌うグレンキャンベルに行き当たったわけである。フォークとカントリーのクロスオーバーかな。こういうところを好む日本人というのもいないかもしれない。グレンキャンベルの力の抜けたところが最高に良い。




"Reunion: The Songs of Jimmy Webb" (Glen Campbell)

September 14, 2007

NHK BS2の「Shibuya Deep A」が面白い

金曜日夜のテレビで一番面白いと思うのは、NHK衛星放送BS2の「Shibuya Deep A」だ。簡単に言えば、ラジオの深夜生放送のような視聴者との双方向番組なだけなんだけど、ライブ感が伝わり、もし自分も投稿投票すれば、自分のメッセージが採用されるんじゃないかというわくわく感もある。もちろんラジオとは異なるので、ビジュアルをうまく使っているわけだけど、基本的にはラジオと同じ。こういう番組を見ていると、テレビは生放送に限る。テレビの将来は生放送だろうと思う。インターネットではVODがあるからもうテレビに勝った気でいるけど、こういう生番組を見てるとやっぱ生が面白いなあと感じる。
なお、レギュラーの加藤浩治の濃いいキャラと、何を言い出すやりだすか分からないケンドーコバヤシと、そして謎めいた塚原愛アナウンサーの組み合わせもいいんだなあ。

September 12, 2007

『ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く』(リサ・ランドール)

邦題をそのままで受け取ると、宇宙はワープスピードで移動してるのか?なんてえことを考えてしまうけどそうではない。目を引きたいあまりに付けられた題名じゃないかと出版社の悪意を感じてしまう。英語の題は『Warped Passages』で、「ワープ」は「歪曲した」と文中では使われているので、「歪んだ宇宙」というような意味になる。
著者はどちらかというと“ひも理論”を支持していないが、ひも理論がこの宇宙は10次元あるいは11次元だという考えに触発されて、自分が抱えていた問題が次元が多いことによって解決されることに気がついた。宇宙の中に存在する5つの力の中で、なぜ重力だけが弱いのかという謎は、次元を超えるグラビトンという素粒子によって説明できるというのである。
分厚い本を読み進むのは苦痛だが、この本のほとんどはアインシュタインの相対性理論やひも理論のおさらいに割かれているので、同じような本をいくつも読んでいる人はかなり呼び飛ばしてしまってもいいかと思う。
今秋、大型の素粒子加速器が稼働するのでグラビトンの発見は間近かもしれない。見つかれば、宇宙には我々の気がつかないところに余剰次元が存在していることも証明されることになるそうだ。




"ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く" (リサ・ランドール)

September 05, 2007

『信長と消えた家臣たち―失脚・粛清・謀反』(谷口 克広)

この本は題名の通り、織田信長の天下統一に加わったものの主に排除されていった多くの家臣たちを紹介したものだ。「泣かぬなら殺してしまえ」の言葉通り、実にたくさんの武士が殺された。天下統一を目前とした時代において忠実に従う家臣を持ったもが有利なのであろう。些細な失敗を許されずに粛清されたもの、上杉や武田など敵に寝返ったものなどには容赦しない。子供や女性を含めた一族を抹殺された家もあった。そういう厳しさを見せられていたから明智光秀は本能寺で織田信長を討とうと決心したのではないだろうか。(ちなみに光秀はそのとき70才近かかったらしい。ドラマ等で作られたイメージとは違う。)その本能寺のあと、豊臣秀吉は光秀に加わった者のほとんどに寛大だった。信長がほぼ作り上げた天下を引き継ぐ分にはそれで良かったかもしれないけど、その寛大さが徳川に破れてしまう結果につながったように思ってしまう。




"信長と消えた家臣たち―失脚・粛清・謀反 (中公新書 1907)" (谷口 克広)