土曜日の日経新聞一面で電通とテレビ局がインターネットでの映像配信のために会社を設立して進めていこうとしていることが報じられていたが、月曜日、共同のリリースが発表された。
「電通、在京テレビ局5社とインターネット上の映像コンテンツ流通の活性化に向けた事業会社設立を検討」
さてIT企業側の戦略はだが、私は下記のニュースにあるBrightcoveの狙っているビジネスモデルではないかと考えている。
「Brightcove、ビデオコンテンツ配信で AOL と提携」
地上波のテレビを見る時間が減り、その代わりにインターネットを使う時間が増えていく傾向はこの先も続くだろう。だって、インターネットは個人の好みにあったニッチな情報を出してくれる情報量と、その仕組み(検索エンジン、AdWords、AdSense、SNS、RSS)が育ってきているからだ。地上波だけでいつまでも巨万の利益を上げていけるはずが無い。地上波でのリーチが下がっていけば広告収入は減るのは当然だから、将来のことを考えれば、別の収入源を確立しなければならない。答えはインターネットにあるかもしれないというのはどこのテレビ局でも考えているに違いない。それが具現化しているのは、「フジテレビ On Demand」であり、「TBS BooBo Box」であり、「第2日本テレビ」だ。
しかし、この3つはフジテレビおよびTBSと日本テレビで大きく異なる点がある。フジテレビとTBSがISPなど他社を介して販売しているのに対して、日本テレビは出していない。つまり、前者は自社の番組を二次利用して販売益を得ようというアプローチをとっているが、後者はそのサービス名のように地上波以外に新たなチャンネルを作ろうとしているのだ。
そもそもテレビ局の強みは、5つ前後の選択しから選んでもらえるというおいしいチャンネルを持っていることにほかならないだろう。インターネットに進出してきても、その強みを維持しようという施策であるべきだと思う。フジテレビやTBSのやっていることはテレビ局がまず狙うべきことではないはずだ。コンテンツホルダーならどこでもできることなのだから、わざわざやらなくてもいい。3つのテレビ局の中では日本テレビが最もインターネットへの戦略は考えているように思う。
だからといって日本テレビがこのままでうまく行くとは思えない。だまっていてもなかば視聴者を獲得できる地上波とインターネットは違うからだ。(ネットレイティングスのインターネット視聴率調査で各テレビ局のサイトは上位にはある。)地上波のコンテンツは全てテレビというデバイスから供給されるような、唯一のコンテンツ供給源をインターネットに作り上げなければならないだろう。それを日本テレビが単独で成功させることは難しい。インターネットに強い企業とタッグを組むのが賢い選択肢であろう。簡単に言えばインターネットで動画配信の覇権を取ろうとしているところ(それはGyaO?、いえもちろんTV Bank)と日本テレビがエクスクルーシブで組むのが最良だと思う。インターネット上の視聴者へのリーチを提供してくれるところにいることが、テレビ局の将来の成功を左右することになるような気がする。
靖国参拝は単なる儀式にすぎないようにおもうが、小泉首相になってから右寄りになってきているし、独裁政治の前触れのような怖さをなんとなく感じていたが、森永卓郎氏が日経BPに掲載したコラムにはっとしてしまった。
動きは組織的に、もっと大々的に行なわれているのかもしれない。
小泉総理改革解説(第6回)[森永卓郎氏]/SAFETY JAPAN 2005 [コラム]/日経BP社
民主党代表の前原誠司氏も右寄りな人らしいのだ。憲法改正も“自衛軍”も粛々と進められていくのだろうか。
おまけに、「共謀罪」を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改正というのも、マスコミは書かないが進んでいきそうで、森永氏曰く、戦前の治安維持法と同様の法律らしいのだ。
太平洋戦争で懲りたはずの日本がまた同じ過ちを犯すようなことは無いことを祈りたい。
ライブドアがニッポン放送およびフジテレビを傘下におさめようとしたのはうまくいかなかったが、今度は楽天がTBSを狙っている。なぜIT企業はテレビ放送局を手中におさめたいのか。
それは地上波のチャンネルを持つことができるということにつきると思う。いくらネット企業がインターネットの視聴率を獲得しても1,000万人を超えるような視聴者を取ることはかなり難しい。対してテレビ局はだまっていても人口の1/5くらいの視聴者にアプローチできてしまう。テレビは電源をつければ情報がプッシュされてくるが、インターネットは情報をプルしなければならない仕組みなので、IT企業にとってテレビ局はうらやましい。つまり、さらに楽天の知名度を高め、自社のショッピングモールに誘導するためのプロモーションチャネルとしてテレビ局を独占することは非常に効果的だ。新規参入なんて不可能だろうから、大枚はたいても買いたいのです。
これに対してテレビ局側はこれまでに放送した番組をインターネットに流すコンテンツとして価値があると考えているように思う。いかにヒットした番組と言えど、ネットで売るのは至難の業であることを知らないからまあ仕方ないかもしれない。水戸黄門をネットで有料配信するよりも、地上波で再放送して広告収入を得る方が楽だし、儲かるはずだ。フジテレビも、TBSも、日本テレビも有料配信をはじめたが、なぜわざわざ自らネットで配信しようとするのか理解に苦しむ。楽天は水戸黄門なんておまけくらいにしか考えてないんじゃないの。
ところで、私はテレビ局が持っているもので非常に魅力的なのは、動画コンテンツの制作能力だと思っている。ネット企業では経験者をリクルートしないかぎり、動画番組を一から作る技術も、ノウハウも、品質も持ち合わせてはいない。だから、ネット企業各社は地上波や映画ですでに消費されたコンテンツを買い集めて売るということになっている。
では、ネット企業とテレビ局はどういう戦略で行けば良いのか?
たぶんネット企業の狙うところは変わらないので、やはり買収を狙うだろう。テレビ局は買収されないようにがんばり、番組(コンテンツ)は、ローリスク、ローコストで、動画配信ネット企業に卸す、ということではないかと思う。