地上波のテレビを見る時間が減り、その代わりにインターネットを使う時間が増えていく傾向はこの先も続くだろう。だって、インターネットは個人の好みにあったニッチな情報を出してくれる情報量と、その仕組み(検索エンジン、AdWords、AdSense、SNS、RSS)が育ってきているからだ。地上波だけでいつまでも巨万の利益を上げていけるはずが無い。地上波でのリーチが下がっていけば広告収入は減るのは当然だから、将来のことを考えれば、別の収入源を確立しなければならない。答えはインターネットにあるかもしれないというのはどこのテレビ局でも考えているに違いない。それが具現化しているのは、「フジテレビ On Demand」であり、「TBS BooBo Box」であり、「第2日本テレビ」だ。
しかし、この3つはフジテレビおよびTBSと日本テレビで大きく異なる点がある。フジテレビとTBSがISPなど他社を介して販売しているのに対して、日本テレビは出していない。つまり、前者は自社の番組を二次利用して販売益を得ようというアプローチをとっているが、後者はそのサービス名のように地上波以外に新たなチャンネルを作ろうとしているのだ。
そもそもテレビ局の強みは、5つ前後の選択しから選んでもらえるというおいしいチャンネルを持っていることにほかならないだろう。インターネットに進出してきても、その強みを維持しようという施策であるべきだと思う。フジテレビやTBSのやっていることはテレビ局がまず狙うべきことではないはずだ。コンテンツホルダーならどこでもできることなのだから、わざわざやらなくてもいい。3つのテレビ局の中では日本テレビが最もインターネットへの戦略は考えているように思う。
だからといって日本テレビがこのままでうまく行くとは思えない。だまっていてもなかば視聴者を獲得できる地上波とインターネットは違うからだ。(ネットレイティングスのインターネット視聴率調査で各テレビ局のサイトは上位にはある。)地上波のコンテンツは全てテレビというデバイスから供給されるような、唯一のコンテンツ供給源をインターネットに作り上げなければならないだろう。それを日本テレビが単独で成功させることは難しい。インターネットに強い企業とタッグを組むのが賢い選択肢であろう。簡単に言えばインターネットで動画配信の覇権を取ろうとしているところ(それはGyaO?、いえもちろんTV Bank)と日本テレビがエクスクルーシブで組むのが最良だと思う。インターネット上の視聴者へのリーチを提供してくれるところにいることが、テレビ局の将来の成功を左右することになるような気がする。
ちょっとninoさんの見解に対しての疑問なのですが、TV局というのは、コンテンツを作る会社だ、という認識ですか?TV製作会社(大映テレビとか円谷プロ、イースト)というものの存在はご存知ですか?製作会社は、コンテンツを高く買ってくれるからTV局に製品としての番組コンテンツを供給しているのですが。TV局が番組を作ることは報道番組などに限定されています。
インターネット企業が、なんで出来上がっているビジネスモデル、しかもマスコミュニケーションの象徴であり、ブロードバンドであるがゆえのビジネスモデルである放送と「無理やり、力ずくで」組みたがるのか、というと、売れるコンテンツ、収益をもたらすコンテンツを「選別し提供するノウハウ、人材」が放送局だけにあるわけで、それを一方的に「欲しい、オレにもよこせ」と言っているに過ぎないと思います。ノウハウの提供が一方的なので、相互繁栄は難しいと私などは思いますので、インターネットがテレビに寄与する部分というのを考えないといけないのだろうな、と思いますね。
Posted by: へろそ at November 24, 2005 04:11 PMインターネットに携わる私から見ると、テレビ局が持っているコンテンツよりも、視聴者が選ぶ選択肢の少ないかつ電源をつけると表示されるというチャンネルを持っているということの方が魅力的なのです。売れそうなコンテンツも、DVDにもなるようなコンテンツも地上波という流通経路に乗っているからだと思うのです。同じものをインターネットに出してもしょぼい売り上げにしかならないはずです。
しかし動画のコンテンツというのはやはり今後のインターネットで重要な位置をとりそうなので、テレビ局はインターネットをうまく活用しないとならないでしょうね。テレビ局のほうが優位なのはもちろんしばらく揺るがないかな。
>動画のコンテンツというのはやはり今後のインターネットで重要な位置
これはその通りでしょう。でも、
>テレビ局はインターネットをうまく活用しないとならないでしょうね
これに、なにゆえ?という疑問があるんですね。動画のコンテンツが欲しいのはインターネットで、インターネットのコンテンツや仕掛けは必ずしもテレビは欲していない、欲しているとしても、視聴者の反応やグッズ販売などの直接的なリアクションであって、そこに楽天だのlivedoor、ソフトバンクのプラットフォームを利用する意味なんかないじゃないの?ということです。
>視聴者が選ぶ選択肢の少ない
アメリカの4大ネットワークとCATVの関係は、選択肢が広がっても結局はコンテンツ勝負になったと思いますが。CATVはニッチな市場を追求して、専門性で勝負するわけですし。日本は、CATVが中継局に成り下がっているので、インターネットがそれを喰ってしまうのは必然だと思いますが、ネットワーク本体はどうかなぁ。私は、テレビがインターネットを使うだけで、インターネットがテレビと融合する、というのは必然ではないと思います。
>>テレビ局はインターネットをうまく活用しないとならないでしょうね
>これに、なにゆえ?という疑問があるんですね。
一番最初に書いている「地上波のテレビを見る時間が減り、その代わりにインターネットを使う時間が増えていく傾向はこの先も続くだろう。」ということから考えてます。地上波だけの視聴者が減れば、地上波への広告出稿額は減っていくはずですから、それを補うことをテレビ局は考えなければなりません。その一つの選択肢としてインターネットがあるだろうと思っているからです。
>テレビがインターネットを使うだけで
私も、そっちのほうが有利だと考えてます。