February 19, 2005

パソコン通信の終焉

Niftyは、パソコン通信を2006年の3月末で終了すると発表した。


ニフティ株式会社は、1987年4月から運営してきた「ワープロ・パソコン通信」サービスを順次縮小し、2006年3月31日(金)をもって終了します。これまで「ワープロ・パソコン通信」サービスをご利用くださいまして誠にありがとうございました。

まだ続いていたのかと驚かされる一方、一つの時代が終わったのを感じる。
パソコン通信全盛時代、今のYahoo! と同じようなポジションにNiftyServeはあった。8桁のIDが書かれた名刺が交換され、メールと言えばNiftyServeのメールだった。今もこのID付きのメールアドレスを愛用している人はいる。
Yahoo!オークションのようなユーザ同士が物を売り買いするマーケットも既にNiftyServeの掲示板の中に存在し、とても賑わっていた。私も何度か売ったり買ったりで利用させてもらった。「差し上げます」という無償交換もあったのは、金銭欲がどろどろしているY!オークションよりも好きだ。
そして最強の魅力は、NiftyServeのフォーラム。仕事柄IT関係の最新の情報やテクニック、あるいは内部からリークされた情報が何度役に立ったか分からない。湾岸戦争の時には、フォーラムの中からリアルでの行動も起こったと記憶している。もちろん、様々な趣味の達人がシスオペになったフォーラムも、書き込みには感心させられた。
ところで、ニフティの戦略として、インターネットの普及が始まった時点で、フォーラムを完全にインターネットに移行していたら、蓄積された知識と、それをもたらすシスオペを頂点とするユーザ群は他の追随を許さないものであったと思う。Yahoo!オークションは無かったはずだ。今やISPでも第二集団に甘んじているニフティは、もっと早くパソコン通信へのこだわりを捨てるべきだったんじゃないでしょうか。

ニフティはCUG (Closed Users Group)という、いわば小さいNiftyServeを運営できるサービスも行っていて、私は元勤めていた会社では、その会社のパソコン通信の導入と普及を担当した。CUGは、メールでの情報交換、社員同士の交流という面でとても貢献したと自負している。私はインターネット業界に転身したきっかけも、このCUGの担当だった。それでなおさらパソコン通信が終わるというのは感慨深い。

パソコン通信はインターネットと異なり、個人はIDによって特定される。物の売り買いでもちろん詐欺を行うものはあるし、フォーラムが荒れることも多々あったが、今のインターネットよりは若干安全であろう。なんでもありで、信用できないものが多いインターネットの状況と、ますます個人情報を登録することに躊躇する危機感は、むしろパソコン通信のような塀で囲われた会員制のサービスのニーズが高まってくるように思うのだ。
レガシーなパソコン通信という技術が無くなるのは当然のことだけど、NiftyServeのなかで展開されたものはインターネットの時代でも忘れ去られないで、活用されることだろう。

Posted by nino at February 19, 2005 10:20 AM | トラックバック
コメント

ひとつの時代の終わりを感じますね、私が利用し始めた1995年頃は、パソコン通信の円熟期、インターネットの黎明期だったような気がします。niftyのフォーラムやサービスはずいぶんと利用しましたし、シスオペというと一種のオーラさえ感じたものです。実に感慨深いですね。

「オープン」と「クローズ」、「フラット化」と「集中管理」とキーワードはかなり異なると思いますが、niftyは、会員じゃないと得られない情報や質の高さがあって、それが良い意味での差別化になっていました。たしかに、それがうまく移行できなかったように思いますね。

Posted by: spock at February 19, 2005 01:46 PM
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