January 06, 2005

DNA + communication + collaboration

NHKスペシャル「地球大進化」『ホモ・サピエンスの誕生』のなかで、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの比較が興味深かった。DNAではほとんど差のないこのふたつのヒト祖先は、同時に存在していた時期があるが、ネアンデルタール人は滅んでしまった。その原因としてコミュニケーション能力の差が考えられるというのだ。

さまざまな研究から浮かび上がってきているのは、言語能力の差である。声帯の位置と気道の長さの違いから、ネアンデルタール人はホモ・サピエンスほど流ちょうに言葉を扱えなかったという説が注目されている。言葉とは、“第二の遺伝子”ともいうべき存在だ。言葉を操ってコミュニケーションをとることで、ヒトは経験や知識を次世代に伝え、より効率的に食料を確保できるようになった。つまり、私たちは遺伝子の突然変異という方法によらず、確実に進化する手段を手に入れたのである。この差が、ネアンデルタール人を絶滅に、そして私たちを繁栄に導いた可能性が高いのである。

確かに情報をコミュニケーションによって仲間にまたたくまに伝播させることができる。個体ごとが目などで実体験しなければ情報を得られない状況とは比べ物にならないだろう。

ネアンデルタール人が途絶えた後、コミュニケーションというもの自体は、郵便、電信、電子メールなどなどメディアやツールによってよりやりやすく、より大きな情報をより遠くの者と交換できるようになったが、コミュニケーションの本質に変わりは無かったように思う。

そこでコラボレーションである。実は、タイトル最後の+ communication + collaboration というのはある人が言っているもののパクリなのだが、この番組を見て私の中でその人が言っているネットの発展に関する見解にシンクロした。
コミュニケーションを水面に投げた石(石はコンテンツかな)の波紋に例えてみると、波紋はいつしか消えてしまう。それぞれの石が作った波紋はお互いに影響を与えることもあるが、基本的には別々の事象で二つの石によって全く異なるものは生まない。
さてここで言いたいコラボレーションとは、それぞれのコンテンツとコミュニケーションがお互いに影響しあい、相乗効果をもたらし、あるいは新たなものを作り出すものだ。これに類するものはつまりブログだと思うのだ。ブログはコンテンツを掲載するためのツールと言うだけではなく、他のブログとトラックバックなどによって手軽にリンクが張られ、コンテンツ間のネットワークをいとも簡単に形成していく。これを例えて言うなら、ドミノ倒しのようなものでどうだろう。伝播は広がっていくが、波紋のように消えてしまうことは無く、倒れた状態はずっと残される。後からやってくるドミノ倒しによって、さらに形状は変化する。
コンテンツがコミュニケーションによってリンケージしていく仕組みはブログ以外にも生まれてくるだろう。ブログは、はじまりにすぎない。

インターネットを活用すると、例えば安いものが手に入るように、使わないと損をすると言い切れる。単に調べるツールとしてインターネットを使うだけでは書籍から情報を探し出すことと差は大きくない。コラボレーションは新しいものを作り出していく結果になるから、すでに存在するものを効率よく見つけるどころではなく、例えば新たな安いものを作り出す結果をもたらすだろう。ドミノ倒しに参加し、倒れたドミノを俯瞰してその意味を理解できる者が次の勝者になるというのは言いすぎだろうか。

Posted by nino at January 6, 2005 12:10 AM | トラックバック
コメント
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?