タイムトラベル物語『マイナス・ゼロ』(広瀬 正)
40年近く前のタイムトラベルを題材にしたSF小説。この系統の小説では男女の時を越えた出会いや再開がよく描かれているように、この小説でもそうなんだけど、魅力的なのは戦前の家庭の魅力的な家族と主人公のからみだった。男女の方はあっさりと描かれている。主人公ものんきだし血眼にならないのはこの時代の男の典型だったんだろうか。好感が持てるな。昭和の風景や風俗というのも、知らないのに懐かしく感じてしまうのは昭和だから?
タイムトラベルの方法については特にユニークなところはないけど、パラドックスを無視したようなストーリーにはなっている。
一般の人からの要望で復刊した本のようだし、いい作品だと思う。映画になったら楽しめる映像になるんじゃないだろうか。続編を期待させるような終わり方になっているようなので、続きを読んでみたかったが残念ながら作者はその後間もなく亡くなっている。
Labels: 小説
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