『宇宙のランドスケープ 宇宙の謎にひも理論が答えを出す』(レオナルド・サスキンド)
とてつもなく大きな宇宙だけど未だに地球外の知的生命体には遭遇していないし、宇宙を観測してもその痕跡も見つからない。こういう状況を見ると地球というのは特別な存在で、さらに人間というのは実は宇宙の中で唯一の知性を持った生物なのではないかとみなすこともできる。ところが、この宇宙そのものの存在自体がきわめて稀なものであるかもしれないそうだ。
宇宙の物質を突き詰めて行けば、全てのものは10-33cmくらいの“ひも”であるというのが「ひも理論」の一つの考え方で、著者はこの理論を最初に考えた一人である。そのひも理論を研究しているうちに、宇宙の物理常数は10500のパターンを持つ可能性があることが分かった。つまり、光の速度や素粒子の質量や電荷などのバリエーションが生まれ、我々の宇宙はそのうちの一つの可能性でしかない。他の宇宙がどういうものになるのか確しかめるすべは無いが、中には星や銀河も作られない宇宙もありえるそうで、我々の宇宙自体が稀なものであるかもしれないのだ。
あまりにも確率の低い結果として存在しているわけだから、この宇宙が何かの意思によって設計されたものではないかという考えはどうしてもぬぐいされない。
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