April 13, 2010

タイムトラベル物語『マイナス・ゼロ』(広瀬 正)

40年近く前のタイムトラベルを題材にしたSF小説。この系統の小説では男女の時を越えた出会いや再開がよく描かれているように、この小説でもそうなんだけど、魅力的なのは戦前の家庭の魅力的な家族と主人公のからみだった。男女の方はあっさりと描かれている。主人公ものんきだし血眼にならないのはこの時代の男の典型だったんだろうか。好感が持てるな。昭和の風景や風俗というのも、知らないのに懐かしく感じてしまうのは昭和だから?
タイムトラベルの方法については特にユニークなところはないけど、パラドックスを無視したようなストーリーにはなっている。
一般の人からの要望で復刊した本のようだし、いい作品だと思う。映画になったら楽しめる映像になるんじゃないだろうか。続編を期待させるような終わり方になっているようなので、続きを読んでみたかったが残念ながら作者はその後間もなく亡くなっている。


"マイナス・ゼロ (集英社文庫)" (広瀬 正)



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April 10, 2010

なぜニコ動なのか、なぜTwitterなのかが分かる『サイバービア 〜電脳郊外が “あなた”を変える』 (ジェイムス ハーキン)

「サイバービアとは、わたしたちが電子情報の連続したループを通じで他人とやりとりしてばかりいると訪れることになる場所だ」。

そもそもwebは膨大な情報を蓄えるのに適した仕組みなんだけど、巨大なアクセスを集めるサイトの多くはコミュニティあるいはコミュニティ機能を持ったサイトである。例えば、2chであり、かつては私も関係したGeoCitiesのような個人サイトやブログである。最近で言えば、ニコニコ動画、Facebook、mixi、そしてTwitterであろう。
なぜそういうことになるかを本書はシンプルに教えてくれる。

「人々がどうしてもサイバービアに戻りたいと願うのは、すでに信号を送っていて、相手からの信号をもらうことでこのループを閉じ、さらにフィードバックを帰したいと切望するからだ」

10年前、GeoCitiesで面白いと思ったことを思い出した。個人サイトに一番アクセスしているのはそのオーナーであった。個人サイトにはゲストブックやチャットを取り付けることができるようになっていて、ただし今のような書き込みアラートのような機能は充実してなかったから、アクセスして自分のサイトへの書き込みを確認せざるをえなかった。そこで、頻繁に自分のサイトを確かめていたのだ。
その後、コミュニティ系のサービスの機能は発展している。メールやメッセンジャーや、さらにはSMSやスマートフォンによって、webのサービスであってもよりリアルタイムでフィードバックできるようになっている。

コミュニケーションのフィードバックループに浸るのは人間として中毒性のあるものなんだろう。
それが人類史において危険なのか、あるいは人類の発展に役立って行くのか。
これまで自分としては後者だと確信していたのだが、この本を読んで、前者もありえると漠然とだが心配になっている。


"サイバービア 〜電脳郊外が“あなた”を変える" (ジェイムス ハーキン)

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February 27, 2010

砥部焼のワインクーラーを購入

帰省にあわせて4年ぶりに砥部に行ってきた。毎回、梅山窯とウメノ青興陶園で物色する。特にウメノ青興陶園は、店主のキャラクターも魅力的だし、置いてある作品もとてもいい。わたしのお目当ては池本窯の鯨やナマズや魚の絵付けの品々で、これまでにも湯呑みや鉢等いくつか買ってるが、今回どうしても買いたくなったのがこの写真のワインクーラー。スパークリングワインや白ワインを冷やしながら食事を楽しめれば最高だ。ちょっと大きめだけど、ビールを冷やしておくのにも使えるかな。

January 22, 2010

佐藤りぢゅうさんの作品


佐藤りぢゅう
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2週連続で笠間に行ってしまった。で、今回ははじめてSPACE nicoというギャラリーを訪れた。正直、新しいギャラリーでもあり期待してなかったのだけど、佐藤りぢゅうさんの作品に衝撃に近い印象を受けた。一般庶民に近いところの陶芸でこの色、この造形なのかなのだ。写真の皿はギリシャ風のタイルなの?くらいにしか受け取れないかもしれないかもしれないかもしれないけど、植木鉢や花器は圧倒的な存在感を示している。よくよくプロフィールを見れば自分よりも1才年上だ。20才くらいの若い作家だと思い込んでいて恥ずかしいし、何か自分と同じ世代でこれだけのモダンさや斬新さを出しているところに共感とライバル心をいだかされる。

January 11, 2010

笠間をぶらぶら

3連休の真ん中の日は笠間をぶらぶら。
毎回行く店の順番も決めてるけど、まずは「きらら館」。姪の赤ちゃんの初節句にぴったりの桃太郎の置物(山口由美さん作)が気に入って購入。自分には太田敦子さん作のお茶碗。次は回廊ギャラリー「門」。とても好きなギャラリーで気になる作品も多数なんだけど、ここでは古川雅子さんの作品をいつも物色。今回は小鉢を購入。
昼ご飯は「柊」で猪肉の入ったけんちん汁付きせいろで満腹。
今回のギャラリー最後は「舞台」。ここでは工藤真人さんの作品が一番気に入ってるんだけど、今回は深緑色のマグカップを買ってしまった。それからピンクの貫入が入った白い厚手の皿が気に入り購入。
最後に雑誌に紹介されていたカフェ「sovasova」に行ってみたんだけど、とても雰囲気がいいし、そば粉のクレープもおいしかった。
大好きな笠間での一日でした。

December 28, 2009

アリシア・キーズ『The Element of Freedom』はまずまず

Alicia Keysの新しいアルバムが出たばかりだ。CDショップでも力を入れているのかコーナーを設けてるところもある。
前作の『アズ・アイ・アム』(アリシア・キーズ)はとても気に入ってるので期待していた。iTunesで視聴し、CDショップでも2回視聴したけど、実は購入には踏み切らなかった。花が無い or パッとしないという第一印象だったからだ。だが、何度も聞いているとやはり彼女の歌唱力のすばらしさで次第に取り込まれ、American Music Awards 2009を見て確信し、お買い上げ。聞けば聞くほど味が出てきている。


"The Element of Freedom" (Alicia Keys)

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BMWのミュージック・コレクション機能

「BMW 2009年モデルの1シリーズ、3シリーズから新しくなったiDriveの音楽機能」というエントリーでGRACENOTEという楽曲のデータベースをディーラーで更新してもらえば新しい曲もCD読込みの際に曲名等が表示されると書いたが、うちのディーラーさんは分からないという回答だった。あっさりこう回答されてがっかりなんだけど、いけてないディーラーさんはおいておいて、ネットで調べてみると、iTunesからCD焼く時に「CD-Textを含める」という項目を選択しておけば、曲名等も一緒に取り込んでくれるということが分かった。さっそく試してみると確かにうまくいった。新しいCDはこういう方法をとらないといけないというのは面倒だけど、CD-Rは高くないしまあいいかということで。

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レディー・ガガにはまってしまった

Lady Gagaは天才的なアーティストじゃないかと思ってしまった。"The Fame" (Lady GaGa)"The Fame Monster" (Lady GaGa)という2枚のCDでハズレの曲は無い。全ていいと思う。
American Music Awards 2009の録画が先日NHK BSで放送された。その中のLady Gagaのパフォーマンスがこれまたすばらしい。このパフォーマンスにつられて、iTunesにあるビデオクリップを全て買ってしまった。


"The Fame Monster" (Lady GaGa)

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October 31, 2009

マイケル・ジャクソンの映画『THIS IS IT』は見応え十分

『THIS IS IT』を見てきました。とても良かった。正直言ってマイケル・ジャクソンの曲は『スリラー』『ビリージーン』『ビートイット』くらいしか興味ないんだけど、映画の予告編を見ていてこれは良さげということで行ってみたんだけど、予感は当たっていた。
コンンサートのリハーサルシーンを中心に、共演するダンサーやミュージシャンの亡くなる前のインタビュー映像や、コンサートで使う予定だった映像、そしてリハーサルでマイケルがアイデアを出しながらショーを作り上げて行く様子は見応え十分。どうせリハーサルの映像だから音も歌も手を抜いてると思いがちだが、そんなことはない。見事な演奏、見事なダンス、見事な歌。マイケルの歌唱力のすばらしさもまざまざと見せてくれる。
マイケル哀悼の映画ではない。コンサートの予告編、メイキングのような映像からは、マイケルのひととなり、ダンスのうまさ、エンターテイナーとして本当にキングだったのであろうというすばらしさが伝わってくる。『ビリージーン』用に何やらすごい衣装も準備されていたようだし、亡くならずコンサートが行われていたらそれはすごいコンサートになっていただろうと感じられる。


"マイケル・ジャクソン THIS IS IT(1枚組通常盤)" (マイケル・ジャクソン)



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October 12, 2009

毒沢鉱泉 神乃湯


毒沢鉱泉 神乃湯
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諏訪大社にお参りした後は、毒沢鉱泉 神乃湯に日帰り入浴。
うっそうとした森の中にあるこの旅館は古風な中にも現代的な味があるインテリアでいい感じだった。
温泉は、無色透明の鉱泉が加熱することで茶色に変色する。鉄分が多いのでしょう。飲むこともできたので試してみると、にがい!
湯船は二坪もないくらいで、5人くらいで満員かな。お湯加減は最高でした。

諏訪大社にお参り


諏訪大社秋宮の紋
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姪の安産と息子の高校受験合格を祈りに諏訪大社まで足を伸ばしました。
諏訪大社秋宮は予想に反して敷地も建物も小ぶり。ご利益はどうでしょう。10年以上前に行ったのは本宮なのかな。

October 03, 2009

ボズ・スキャッグスの『ミドル・マン』

タワーレコードを覗くと輸入盤1000円セールがあり、そこにボズ・スキャッグスの『ミドル・マン』があったのでおもわず購入。
約30年前のAOR全盛時代のなかで代表されるのがこの一枚だろう。当時、大学の同級生がこのアルバムを持っていて、よく聞いた。iTunesでこのアルバムの代表曲は購入していたし、持っているベストアルバムにもなかの曲は入っていたのにこのCDを買ったのには理由がある。下の写真のジャケットが大好きだからだ。知っているアルバムのジャケットのなかでもベストに近いと思っている。女性を膝枕に目を閉じタバコの煙をふっと吐くオールバックの男(ボズ・スキャッグス)がかっこいい。それから背景のグリーンの色の美しさ。この写真からは分からないが裏面と一体になっていて、裏面で女性は真っ赤なレオタードのような形をしたレザー地の服を着ている。その緑と赤の対比も絶妙なのだ。
夕べはこのCDを聞きながら寝てしまった。ただし膝枕の上ではなかったが。

"ミドル・マン" (ボズ・スキャッグス)



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September 26, 2009

成功しているwebサービスはクラウドソーシングに類するものであろう

ハヤカワ新書の『クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす』(ジェフ ハウ)はとても参考になる本であった。
クラウドソーシングとは、「群衆の知恵で大きな物事を解決しようとしている」活動の場だけど、その種類は多岐にわたる。本書ではオンラインのTシャツ屋から写真ストック、あるいはSETIまで例として取り上げられている。自分なりにこの類いに含んでいいと感じているのは、携帯小説、クチコミサイト、あるいはオークションだ。細分化した情報単位で見れば対したこと無い、あるいは一見役に立たないものばかりだけど、全体のムーブメントは世の中に影響を与えるほどの価値を見いだされている。今後のwebサービスもこの方向が必須になるのではなかろうか、クラウドソーシングのエッセンスが入ってないwebサービスは役立つものだったとしても主役にはなり得ないような気がする。


"クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす (ハヤカワ新書juice)" (ジェフ ハウ)



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September 22, 2009

安曇野市「ギャラリー牧ヶ原」

安曇野市にある「ギャラリー牧ヶ原」では、鉄や銅を素材とした作品や絵画、備前焼、家具、ステンドグラスなどがゆったりした空間の中に展示されている。
なかでも気に入ったのは花嶋美代子さんの油彩だ。油彩なので気軽に購入できないのが残念だったが、花の絵は女性らしい感性が伝わってきて思わず欲しくなってしまった。
購入したのは、アトリエ小市さんの銅製のローソク立て。カエルがぶら下がっているのがユーモラスでかわいい作品です。
入館料があるので躊躇してしまいそうだけど、飲み物付きだし、最高級のオーディオから流れるBGMを聞きながら写真のすばらしい風景を満喫できるので全然高いとは思わなかった。

ギャラリー牧ケ原



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September 01, 2009

wikiよりも手軽にページを作れる「Writeboard」

webサービス「Writeboard」はwikiの類だけど、記述文法がとてもシンプルなのでITリテラシーの高くない人でもちょっとwebのページを一枚作りたいときには手軽に使えそうだ。

書式には、大見出し(H1)、中見出し(H2)、太字、斜体字、箇条書き、番号付き箇条書き、インデントの指定ができ、そのほかにmailtoも含めたリンクや外部サイトにある画像の表示もできる。

編集権限を他人に与えることもできる。こういうコラボ機能はネットを使った文書作成では欲しいところだ。バージョン管理もしてくれるので、誰かが間違って編集しちゃっても元に戻せる。



ただし、どうも日本語に対して問題があるようだ。書式(文字に飾り)をつけた文章は2行続けてだと、2行目が正常に表示されない。飾りをつけない文章だけならページ名も含めて問題はなさそうなので、ノート用ツールとしては問題なく使える。

August 23, 2009

『ポール・マッカートニー・アンソロジー 1970-2005 [DVD]』

音楽はCDで事足りるけど、アーティストが動いている姿とともに音楽を楽しみたい時や、ライブの映像を楽しみたいときには音楽DVDがいい。今回購入したのは、ポール・マッカートニー全盛時代の映像が含まれるDVDだ。 私が考えるその全盛時代とは、『バンド・オン・ザ・ラン』『ヴィーナス・アンド・マース』という2枚のアルバムの前後。ウィングスというグループ名だったね。ちなみにポール・マッカートニーから興味が離れたのは『エボニー・アンド・アイボリー』だった。最低な曲だと思っている。DVDの一枚目の最後の時期がこの“大嫌いな曲”までのPV。2枚目がその後、そして3枚目はライブ映像だ。なので2枚目には全く興味はない。3枚目の冒頭は、その全盛期のライブ映像で必見。かっこいいね。ちなみに、1枚目の『セイ・セイ・セイ』には若かりしマイケル・ジャクソンも出演している。



"ポール・マッカートニー・アンソロジー 1970-2005 [DVD]" (WARNER MUSIC JAPAN(WP)(D))



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August 22, 2009

楽しければいい、映画「ナイトミュージアム2」

妻子にあんな映画見るのと冷ややかに言われつつ楽しんできました、映画「ナイトミュージアム2」。ストーリーは前作の続きなので、無いに等しいけど、ドタバタがいいじゃん。それに、愛を感じるんだなこの映画には。暖かく包んでくれそうな愛が満ちている。
今作では、エイミー・アダムズがとても奇麗だし演技も良かったんじゃないかと思う。この女優、映画「魔法にかけられて」の主演でしたね。
さらならる続編はなさそうなエンディングだったけど、とても癒されてエンドロールまで楽しむことができた。

August 18, 2009

東御市の「アトリエ・ド・フロマージュ」でランチ

今日は、アトリエ・ド・フロマージュのイタリア料理レストラン「リストランテ フォルマッジオ」でランチ。自家製チーズで有名な店ということで行く前はチーズの味が強いのかと思いきや、隠し味にうまく使っている感じでとても美味しかった。
写真はランチコースの「パスタで選んだ千代幻豚のラグーと自家製チーズ、トマトソースのスパゲッティ」。前菜もおいしかったし、デザートも甘みをおさえたあっさりした味で良かった。
グルメガイドの「ザガットサーベイ」長野県版で人気のある店ベスト20にも入っているようである。レストランからの眺めも最高。あいにくもやっていて遠くの山並みまでは見えなかったけど、寒い季節なら圧巻の眺望とともに料理を堪能できるのではないだろうか。

リストランテ フォルマッジオのパスタ



August 15, 2009

久々の益子でお買い物

先週益子に行ったのだけど、前に行ったのは10年以上前だろうか。手前の笠間は3ヶ月に一度は行ってるけど、そこからさらに30分以上はかかるのでどうしても笠間までとなっていた。
まずは、「つかもと」。笠間と言えばこの店なわけだが、久々に行ってみて本館の方の作品はまるで土産物なのでパス。しかし、ギャラリーで阿久津雅土さんの藍色(瑠璃釉)が気に入ってしまった。まさに藍色という色と、花瓶の形がとてもいい。大皿と香炉を購入。
これまで益子をぶらぶら歩いたことは無かったけど、電柱も撤去されて街並が整備されているのに誘われて何軒か覗いてみた。結構笠間の店に置いてある作家のものもあり、笠間と益子の距離的な近さを感じるが、いかにも益子焼というのは多いのはしかたないかもしれない。
写真は、G+OO [ G plus two naughts HOME ]というモダンなギャラリーで見つけた25センチくらいの皿。伊藤丈浩という作家らしい。伝統的な益子焼の雰囲気を現代的にしたセンスはすばらしいと思う。写真からは分からないが、茶色の部分は黄色が混ざっているところも味があって良い。
この二人の作家の作品に出会えたのは収穫だったけど、笠間の方が近いしいろんな作家の作品がそろっているので益子まではやはり行きにくいなあ。

伊藤丈浩


August 11, 2009

『宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創っ たか?』(セス・ロイド)

この本の著者が言いたいことは訳者の次の短い文で示すことができる。
「宇宙はそもそも計算する力というものを備えている。宇宙開闢とともにその計算が実行されたことで、宇宙という劇のシナリオが描き出されたということだ。」
量子というのはゼロと1で演算して行くデジタルコンピュータと同じような働きをすると見なせる。我々の存在も、我々の行動も感情も、あるいは地球や銀河の成り立ちや破滅までも結局は量子の振る舞いの結果に過ぎない。




"宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか?" (セス・ロイド)